AIが人の仕事を奪うだなんて誰が言ったのだろう。
『プリンセスメゾン』の池辺葵、SFへの挑戦!
『繕い裁つ人』や『プリンセスメゾン』で、社会の同調圧力に屈せず孤高の道を行く女性を描き、熱い支持を集めてきた著者の新境地。
大量生産から20年、ヒト型AIが世界中で廃棄される中、少女・和音は喫茶店で働いていた。
人とAIが共に暮らし、交錯する中できらめきを見せる、命あるものたち――。
誰かを、何かを愛しく思うのは、ヒトの特権ですか?池辺葵(いけべ あおい)2009年デビュー。
同年より、『繕い裁つ人』(講談社)の連載を開始する。
14年、『どぶがわ』(秋田書店)で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。
この年、『プリンセスメゾン』(小学館)も連載開始。
18年、『ねぇ、ママ』(秋田書店)で第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。
ほかの代表作に『かごめかごめ』(秋田書店)、『雑草たちよ 大志を抱け』(祥伝社)などがある。
現在、『FEEL YOUNG』(祥伝社)で『ブランチライン』を連載中。
私にできるすべてのこと
映画化 原作漫画


コメント
池辺さんの漫画にある、ほんわかした人の暖かみを感じさせるロボットのお話。
がっつりSFを読みたい!
という方にはちょっと違うかもしれませんが、優しくて暖かみのあるロボット漫画です。
こういうテーマを描く時には、山田胡瓜の作品のように、AIやロボットにより変化する社会構造なども描かなければならないのだが、そこまで筆が及んでいない。
ここで描かれているのは、ヒューマノイドAIというよりも亜人間である。
「鉄腕アトム」のロボット市民に似ているが、それよりもさらに単純な召使いでしかない。
AIは自分が破壊されることを怖れない、そういう感情を持たないという表現。
しかしAIから見た実生命はオーラをまとって見えるという描写は幾度か現れる。
しかしそういった詩情をかもしだそうとする演出も、効果的に感じられなかった。
詩情を描く場合には、具体性やロジックを対置するのが定石である。
AIが浸透した社会では、詩情をかもしだす以前に、技術的・社会的なものごとが変質してゆくはずである。
その部分をしっかり描いた上で、その中で詩情を描くほうがよいのではないか。
本作のAIというテーマは、いわばチャレンジだったかもしれない。
しかし無理に「AIの人生」を描くのではなく、今暮らしている日常の延長としての「人間の人生」を描いたほうが良かったのではないか。
なぜ、主人公の彼女は「AIのような人」ではなく「人のようなAI」でなければならなかったのだろうか。
池辺葵さんになると、一見難しく硬いテーマも、優しくあたたかさ、そして切なさに包まれる。
人なのかAIなのか、なかなか区別がつかなかったけど、AIが作られすぎて、ヒトが働く場所がなくなってしまった世界。
初めはよくわからなかったけど、徐々に絡まった糸が一本につながるような展開でした。
いつか実用化される時が来るのだろうか。
健気で怖い。
人間がココロを大切にすることを忘れないで欲しい。
便利になっても。
いかなる時も。