戦争は女の顔をしていない

第二次世界大戦の真実を明らかにする……500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。
『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ、第4巻が登場。

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コメント

  1. user より:

     原作は当然ながら、ロシアによるウクライナ侵攻の前に書かれている。
    しかし、今起きていることを無視して読むことはできない。
    今巻の最初の方に、ウクライナ人のエピソードが出てくる、そして巻末のコラムも、ウクライナの歴史が書いてある。
    そして何より、作中に登場する「独裁者」スターリンがプーチン大統領とダブって見えてしょうがない。
  2. user より:

    第二次世界大戦時のロシアの女性兵士の証言文学を原作とした漫画の第4巻。

    恋は戦時中の唯一の個人的な出来事であり誰もが率直には語りたがらなかったという話が特に印象に残っている。
    女性兵士は戦後、従軍しなかった女性からアバズレをみるような侮蔑にさらされたからだ。

    たとえば第20話の元女性射撃兵の証言。
    戦後、共同住宅に住んでいる女性からこう言われる。
    「戦地ではたくさんの男と寝たんでしょ?」。

    戦場は基本的に男の職場である。
    男たちは女に飢えている。
    そんな環境に志願していくのは男漁りをするために違いない。
    そんな偏見をもとに差別されたのが、義憤に燃えて国に精魂を捧げた元女性兵士たちだ。
    現在よりも潔癖な恋愛観の時代だったことも中傷に拍車をかけたのかもしれない。

    このようなやるせない仕打ちを受けては率直に恋愛について語りたがらないのも当然だろう。
    障害者のうち高齢の人ほど障害を秘匿したがるのに似ている。
    ハンデが露見したら露骨に差別されるのをリアルタイムで目撃あるいは経験してきたのだから。
    元女性兵士たちは大戦後、第二の戦争を戦ってきたのだと言えるだろう。

    それでも一緒に戦った男が理解してくれればまだいい。
    元女性射撃兵は復員してきた司令官と結婚するも、1年経って男の方は不倫相手のもとへ出ていった。
    「彼女は香水の匂いがするんだ 君は軍靴と巻布の臭いだからな」と言って。
    それ以来彼女は天涯孤独の身として暮らしている。
    国のために時間と若さを差し出した彼女にいったい何が残ったというのだろう。

    以上のように、本書では国家の統制によって戦争が青春にならざるを得なくなった人々──当人たちは自らの意思で志願したと思っている──の悲哀がそこかしこに散りばめられている。

    当局に逮捕された家族の返ってこなかった元看護婦、戦時中の極限状況で落ちた恋が今も焼き付いている元衛生指導員、戦争時の悪夢に毎晩襲われる元斥候。

    本来は自分の好きなことや好きな人に自身の時間と情熱を向ける権利があるはずだった人々の、誰一人として同じ話のない、歴史に埋もれて残らなかったかもしれない苦悩の合唱がここにはある。

    いくら国家に愛と忠節を示しても、国家は彼女たちに報いてはくれなかった。
    きっと国家にとっては意味があったのだろう。
    しかしいったい、彼女たちはなんのために戦っていたのだろうか。
    読み終わったあとはひたすら沈痛の念が胸を渦巻いた。

  3. user より:

    人間臭いエピソードの多い巻だった。

    小梅けいとさんの可愛らしい絵じゃなかったら、ちょっと読めなかったかも、と思うくらい。

  4. user より:

    原作を読んでるから、毎回「絵が入るだけでここまで印象がかわるものか」と驚く。
    今回は人間臭いエピソードが多いな。
    中には原作で数行というものもあったはず。

    巻末には速水螺旋人の説明が入ってるけど、今回はウクライナがらみが多い。
    ウクライナやロシアの歴史的成り立ちが(速水氏としては)簡単に説明されてるので、読むと面白い。

    何より萌えミリが流行り始めたときに、それ系オタクにこの原作を「マスト読め」と勧めたのが彼だしなあ。

  5. user より:

    冒頭の過去の日記を読む、そこを考える。

    彼女は今、過去をどこで振り返っているのか?

    語られる多くの戦争の先に、また戦争があった。
    絶望はたやすいが、私達はまずこの愚かしい戦いを終わらせなくてはならない。

    そこにも多くの顔のない人々がいる。

    私は過去に戻ってはならない。

    だからこそ、読んでいた胸が痛む。

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