
「アンダーカレント」「珈琲時間」というロングセラーを生んだ豊田徹也はじめての短編集。
単行本未収録だった表題作、ファン待望の『ゴーグル』ほか、月刊アフタヌーンにて発表された、感動あり、笑いあり、そのどちらでもない微妙なものありのバラエティー豊かな中短編が楽しめます!
実写化 原作漫画
「アンダーカレント」「珈琲時間」というロングセラーを生んだ豊田徹也はじめての短編集。
単行本未収録だった表題作、ファン待望の『ゴーグル』ほか、月刊アフタヌーンにて発表された、感動あり、笑いあり、そのどちらでもない微妙なものありのバラエティー豊かな中短編が楽しめます!
コメント
描かれた時期が疎らで、デビューからの軌跡をたどるのに良い一冊になっています。
表題作「ゴーグル」だけでなく「ミスター・ボージャングル」「とんかつ」「海を見に行く」、シリアス系の作品は家族のお話。
どれも違うのですが、根本には家族の苦しみと葛藤が共通しています。
家族だから、家族なのに…悪意が無くても苦しめあうその関係に明確な救いを用意はしていませんが、すっきりと読むことが出来ます。
良く練られたネーム、セリフ回しに背景、そして伏線とヒント。
どれも丁寧で魅力的でした。
「スライダー」みたいなバカ話も面白い。
アフタはいい作家を見つけたものです。
珠玉もそうじゃないのもとにかく描いたものあるだけ・・・」というのが正直なところ。
この人は本当に寡作だなあ。
「海を見に行く」のあとがきを見て、改めて海のシーンを見直した。
確かにこれは入魂のトーンなんだろうなと思う。
漫画を見る中で初めてそういう見方をした。
今度から気をつけて見てみよう。
アンダーカレントを読んだ者としては、もっと期待してしまう。
、
前作の「珈琲時間」と同じく豊田徹也らしい作品ばかりなのだけど、読みたかったのはこれじゃないという印象のも同じ。
どの話もいい話ではあるけど、行動の動機や考えがいささか表層的。
どこかで読んだような作品になっているので、もうひとひねりふたひねり欲しい。
あと、豊田徹也の絵はよく映画的表現と言われて確かにその通りだが、これも必ずしも良いことばかりではないと思う。
映画という動画での作品と漫画という静止画での作品とでは当然、効果的な演出が違ってしかるべき。
漫画でいうコマ割り、映像でいうカット割り一つとったって、両者は交換可能ではない。
にも関わらず、映画的表現をそのまま導入して、漫画としてのリズムを損なう箇所がたびたびある。
動く絵でこそ活きる表現が、静止画の中に入ったとたん動きを失ってリズムを狂わす。
こういうところはデビューから最近まであまり変わっていない。
しかし、つくづく豊田徹也は損な作家だとは思う。
これだけ批判したものの、他の作家さんであれば純粋によかったと言える。
でもこの人には「アンダーカレント」がある。
たぶん僕を含め多くの人が豊田徹也の処女単行本でありいまのところ唯一の長編作品であるアンダーカレントで彼を知り、その後の作品を読んでいる。
アンダーカレントが基準点というハードルを上げられた状態で、しかも短編集とあっては確かに勝ち目のない戦いではある。
しかし、だからこそここでもう一度長編に挑んでほしいというのが多くの読者の望みなんじゃないか。
タイトルにもなっている「ゴーグル」はさすがというか、短編の王道を走ってる感じ。
探偵の人は「アンダーカレント」の人なのかな? 「ミスター・ボージャングル」「とんかつ」あたりが特に好き。