宝石の国

ひとり地上に残されていた主人公・フォスフォフィライトのもとに、人間を祖とする月人たちがやってきた。
フォスは祈り、月人たちは無に帰したとされる。
さらに途方もない年月が過ぎたのち、フォスは新たな岩石生命体と出会い、対話することによって幸福を感じるようになるがーー。
強くてもろくて美しい、宝石たちの物語、完結巻。

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コメント

  1. user より:

    フォスはどこまで小さくなるんだろう(限界はあるんだろうけど)、どこまで小さくなってもそこにフォスが存在するのなら、それはもう永遠なんじゃなかろうか、とも思ってしまう。

    小さくなって、本来の純粋なものだけが残る。

    長い永い時の果てに、望むところに行き着けられるといい。

  2. user より:

    人生が変わった、というありきたりな言葉で終わらせるには良すぎる漫画だった。
    12年の連載、本当に本当にお疲れ様でした。

    フォスがフォスらしく終わって、きっとみんなをえがおにする彗星になって散っていったのが本当に美しくて、それを見つめるフォスの後ろ姿がほんとうに眩しかった。

    フォスのその純粋さと素直さがどんどん仇になっていく。
    彼はあまりにも純粋すぎた。

    アンタークチサイトは僕の身代わりになりました。

    今日の仕事がこれだけじゃ、アンタークに報告できません

    アンタークとの出会いと別れでまずフォスは強くなって、そこで1度心が壊れて。

    その後もラピスラズリの頭部を接合したから聡明になって、フォスだったら分からなかったであろうこともどんどん分かっていって、月に行って攫われた宝石たちの行く末を知って、どんどんフォスの中のフォスフォフィライトである部分は少なくなっていた。

    金剛先生が祈れないことに苛立って、でもお互いに愛が残っていたから余計にフォスは苦しんだのかな。

    金剛先生が壊れたあと金剛先生の右目を貰って、先生の記憶をすべて取り込むまでには1万年掛かる。

    「良い1万年を」
    という言葉で一旦1年半休載した。
    フォス達にとっての1万年って、わたしたち古代生物で言うところの何年に値するんだろう。
    すくなくともフォスが祈るためのものになるまでの1万年は、あまりにも過酷だったと思う。

    ほかの宝石たちはみんな月で幸せに暮らしていたのに、フォスだけは金剛先生の記憶と祈りを引き継いで、フォスフォフィライトである部分は本当に一欠片しか残っていなくて。

    フォスはあまりにも人間そのもので、でもやっぱり人間ではなかった。

    フォスが祈ったことでほかの宝石たちも、月人も、みんな無の世界に行って、残ったのはフォスと石と、先生の兄機だけ。

    兄機は人間じゃないからずーっとフォスを見ていてくれた。
    果てしない海の中で。
    あのあまりにも濃すぎる時間を、全部。

    兄機のFUNKYさ、本当に救われた。
    そこまでずーっと悶々とした薄暗い気持ちで読んでいたから。

    兄機がフォスフォフィライトの部分を無の世界に一緒に連れて行ってくれたこと、本当に本当にたった1人のフォスの理解者だなと思った。
    フォスを唯一愛してくれた人。

    あけがたいろの花が咲いた。

    シンシャだったのかな、あれは。
    フォスとシンシャはもはや腐れ縁みたいなものだよね、シンシャに楽しくて2人でしかできない仕事を見つけるって約束したから。

  3. user より:

    こんなにハッピーでもバッドでもないエンディングってあるんだあ……!
    と思った。
    こんなに何も感想を抱けない終わり方は初めてです。
    良かったとか悪かったという話ではなく、意識が高尚すぎて理解が追いつかない。
    そもそも宝石だから我々ニンゲン的な考え方ではなかったし、フォスは更に神になったから余計に「何考えてるのか分からない」状態に。

    ただ「みんな幸せになって欲しかった」というのと、「特別な存在になりたかった」のは一貫してたのかなと。

    こんなに読者を置き去りにする漫画初めて!

  4. user より:

    スケールと叙情、詩と死は同時に表現できることを示した、人類の表現を一歩進めた作品と言っても過言ではないだろう。
  5. user より:

    「宝石の国」 市川春子

    全13巻。
    完結済みです。

    正直絵柄が個人的な好みから外れていたのでどうかな…と思っていたのですが(本当すみません)、
    テーマがどうしても気になり、結局手を出してしまった

    舞台設定は、
    地球では人間や主だった生物が死滅している遠い未来。

    人間の代わりに宝石の身体を持つ人間のような形の生命体が28人、
    それらを束ねる「先生」と呼ばれる僧侶のような格好の男、
    その宝石たちをを何らかの意図を持って攫って行こうとする、月からの来襲者である月人とのバトルが繰り広げられます。

    読了して思ったことは、
    主人公は宝石人なので主人公サイドでのストーリー展開がメインだけれども、
    深刻で切羽詰まった精神状態なのは圧倒的に月人の方で、テーマ的に重い部分が多いのは月サイドだったなぁ、ということ。

    このテーマで13巻でまとめるのは結構キツキツで、
    こんなに駆け足なのは出版社の都合があったんじゃないかと勘繰ってしまうほどでした。

    あと、宝石人は完全なる不死とまではいかないものの、
    負傷してもある程度の再生は可能なので、
    生命に対する価値観が読み手のこちらとだいぶ乖離している点や、
    持ち合わせている感情が繊細でない分、
    キャラに感情移入できるまでに多少時間がかかりました。

    でも、こういう命を持って生まれてきた生命というのは、
    生きている期間が長すぎるがために「生」の価値が薄くなってしまうのも当然で、ある意味仕方のないことかもしれません。

    月人においては宝石人よりも遥か昔から存在し、こちらもほぼ不死であるため、
    描写はささっと済まされてしまっていますが、
    それでも垣間見えるどうしようもない閉塞感と倦怠感。

    解放され無に還りたい、それだけを拠り所に、
    能天気そうな日常を送りつつも心の奥に仕舞い込んで目を逸らしていた、この必死の想いが同情すべきものであり、哀れでもありました。

    個人的には月人サイドのストーリーが提供されているものの5倍はあっても良かったかな、と思います。

    あまりにも重いテーマを抱えているのに、これだけの描写では材料不足で、作品としては非常にもったいない、と感じました。

    結末としてはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、受け手の価値観によってどちらとも取れるかと思います。

    私としてはバッドエンド寄りです。

    主人公は再生過程で他の鉱物を取り込んで混ざり物になっていくうちに、結局オリジナルの人格や思考がどんどんなくなっていくし、
    一番心を通わせたかった相手には拒絶され、
    全員がいなくなった地球に何万年も孤独に耐えなければならず、
    地球消滅とともに彼も消滅していくその瞬間に、
    彼に寄り添ってくれるべき相手が誰もいないというのはあまりに可哀想すぎました。

    せめて幻でもいいから誰かに迎えにきて欲しかった。

    これは主人公の晩年(?)に出てくるポッと出のキャラたちではあまりに役割不足で、
    「先生」の兄が多少良い仕事してますが、
    そもそもこの「兄」はそれまでほとんど登場してきていないので、急にこういう良い事されてもなかなか感情が追いつかなかったです。

    あと、バトルシーンが多いのですが、
    擬音が少ないせいか、とても静かというか、スローで見ているような錯覚を覚えました。

    それはそれで味があり、こういう描き方もあるのかーと新たな発見ではありましたが、
    そもそもキャラの顔のパーツの描きわけが私には区別がつきにくく、これ誰だっけ?となることが多かったようにも思います。

    とはいえ、テーマとしては秀逸で、スピンオフが出たらかなり奥深いものになるのではないかと。

    前述のように、テーマが壮大なわりにストーリーが短いので、
    それを基にしつつ自分で脳内補完で楽しめる、という側面はかなりありそうです。

    それを始めから意図して作られた作品であったとするなれば、これはもうものすごい作品であると思います。

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