
ヴァイキング達が跋扈する11世紀北欧を舞台にトルフィンが本当の戦士を問う物語。
父親の仇を討つために過ごした幼少期、奴隷として農場で過ごした青年期を経てトルフィンは約束の地・ヴィンランドにて平和の国の建国を目指す。
小麦畑を作り順調にヴィンランド開拓を進めるトルフィン達一行。
先住民族のウーヌゥ人との友好的な関係を築きつつある中、ヴィンランドに疫病が蔓延。
ノルド人とウーヌゥ人との間に疑心と憎悪の感情が芽生え、互いに自分たち平和を守るため、戦争を計画する事態に発展する。
ヴィンランドが「仕方ない」の魔力に飲み込まれていく中、トルフィンはウーヌゥ人の族長へヴィンランドからの撤退を宣言し、戦争回避の策を提示する。
族長はこれを受け入れ、争いは一時収束するかに見えた。
だが未曾有の事態を機に戦争強硬派が動き出し、交渉は決裂。
ついに戦争が始まり、アルネイズ村に戦争の炎が降りかかる。
ココジャナイドコカ、約束の地へ。
トルフィンの夢の行方はーーー。
本当の戦士を問う北欧叙事、ついに完結!


コメント
自分の中では、26巻で終わって良かったが、この巻まで描く必要があったのだろうと思った。
人間は人を殺して生きていけるほど強くないと改めて思った。
なぜ戦争は始まってしまうのか。
ここまで深く考え抜いた作品は稀。
善良なリーダー、一般市民、人の皮を被った獣。
それぞれが最良を望み、選んでなお、破局がある。
コミュニケーション、技術、そしてどうしようもない運。
神ならざる人には、リスクを下げることしかできない。
作者は戦時下の現代に、嘆息と覚悟を読者に突きつける。
自分の中では、26巻で終わって良かったが、この巻まで描く必要があったのだろうと思った。
人間は人を殺して生きていけるほど強くないと改めて思った。
戦争は良くない、暴力は良くないよねという「当たり前」から一歩進み、それを実際に避けることや貫きとおすことの難しさを描き切っている点が素晴らしい。
加えて罪と罰という、過去何度となく語られている普遍的なテーマに挑戦しながらも、人間の愛だけは止めることができない、仲間外れにされた人が行き着く場所はあるかなど、前作プラネテスからのつながりも残しており、続けて読むとさらに考えさせられる。
まさに文学的な、大人向けの漫画だったと思う。
幸村先生ほんとうにお疲れ様でした!
やはり戦争は起き、多くの犠牲者が。
それでも「仕方ない」という選択肢を最後まで選ばず、戦いを避ける道を模索し続けた。
やっていたことは間違っていないのに、上手くいかない理不尽な世界。
とても考えさせられる作品だった。