この世界の片隅に

呉市に嫁いだすずは、不器用ながら北條家に溶け込み日々を過ごしてきた。
だが、やがて戦争の匂いがすずの暮らす街を色濃く染めていく。
空襲、原爆、終戦。
戦争が一人の女性の小さな世界を歪ませていく。
ページを捲る手が震える、魂の最終巻!

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コメント

  1. user より:
    この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

    名著『夕凪の街 桜の国』の著者の話題の新作。
    同じく広島を主題としたものであるが、今回は原爆投下前の日常に焦点を当てて描く。
    若い夫婦が見合い結婚をし、少しずつ情を通わせ、妻が婚家になじんでいく様子を慈しみ深く表現しながら、少しずつ、少しずつ、戦争の暗さが忍び寄ってくる(しかし、その暗さもふっとばす新妻のボケっぷりがいい)。

    最終巻に入り、戦局が悪しくなってくると同時に物語は一気に渦を巻いて流れ出し、登場人物も巻き込まれていく。

    淡々と読み進めていったが、最後の3ページで自分でも驚くくらいに突然、涙があふれ出した。

    そして、二度、三度、読み返すと気づかなかったたくさんの伏線に出会い、また感動を新たにした。

  2. user より:
    この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

    中巻以後に物語がどんな佳境を迎えようとするのかを読みたくて、単行本の発売が待ち遠しかった。

    太平洋戦争時、軍都・呉に生きるありふれた庶民の家庭にスポットをあて、銃後の生活を単純な抑圧と絶望の日々として描かなかったところに、このマンガの価値がある。

    物語は年代記的な筋立てで進みながら、こちらの想像とはかなりちがう結末へと奔流のように押し流されていく。

    下巻では、昭和20年4月~21年1月までの1年に満たぬ期間が描かれていくのだが、それこそページをめくるごとに次々と重大な出来事が主人公すずの身の上に押し寄せてくる。

    戦争の時代に生きるとは、きっとこのような時間体験をすることなのだと読者に思わせるのが、作者の狙うところだったのだろう。

    大切なものをいくつも失い、正義なるものに決定的な不信を抱き、戦争とは裏切りと暴力を変換キーに掛けたものであることを見抜いたすずが、傷ついた身体への自己憐憫に淫することなく、〈普通の人〉を生き続けようと決意する姿は感動的といえるだろう。

    8月15日の玉音放送をもって戦争が終結したという記述など、ただの書かれた歴史に過ぎない。
    この日をもって死んだのは国家大義であった。
    市民の生活はなお途絶えはしない。
    瀕死にあろうと留まることなく、傷にえぐられようと立ち枯れることなく、戦争の痛みの記憶を宿して川のように現在へと流れ着く。

    自衛隊が海賊退治を名目に平然と海外派兵される時代に、この作品がどんな影響力を読者に持ちうるだろうか。

    だからこそ、ひとこと余計な注文を付け加えるとすれば、登場人物が全て「善人」からなる「こうのワールド」はこの作品で完成を見たと思いたい。

    作者が今後もこのテーマを掘り下げてくれるならば、いずれ「加害者」の側から戦争の正体に踏み込んでみてほしい。

    戦争を遂行を容認した人々、積極的に加担した人々、そして彼らによって生を抑圧された人々…。

    そんな庶民の姿をありのままに作品に盛り込んでほしいと思う。

    敗戦を知ったすずが嗚咽する場面に、そんな方向性への萌芽が読めたように思った。

    「どうして戦争を止められなかったの?」
    いつか子どもたちに、そんな質問をされる日が来るかもしれない。

    そんな不幸はごめんです。

  3. user より:
    この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

     一見ほのぼのした絵ですが、
    色気や毒気もあり、何より生きる悲しみ、そして希望に満ちた作品です。

    必読!

  4. user より:
    この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

    戦時中のストーリーでしたが、ある家族の出来事。

    画風もほのぼのチックで、時代の流れを想像しつつ読む感じ。

    すずのぼんやり(おおらか)さと、時代の辛さ哀しさ、どこにでも宿る愛、居場所、記憶の器として生きていくこと。

    いろんな想いが描かれてます。

    ドラマの方がラストの持っていき方とか好みでしたが、原作を読んでドラマも厚みを増しました。

    ドラマ見てなかったら絶対に読んでないマンガですが、読んで良かったです。

  5. user より:
    この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

    漫画史に残る「戦争漫画」の傑作。
    傑作中の傑作。
    これ以上に語ることばはない。
    ぜひ多くの人に触れて欲しい作品。
    個人的にこの作品は、3巻積み重ねたからだけれど、「夕凪の街 桜の国」を上回ったと思います。

    あまりにも素晴らしい要素が多すぎて、語りつくせないが、作者の真摯な「時代」への、そして「漫画」への探究心が生み出した数々の傑作エピソードが、一気に物語の後半で花開く。
    36度5分の温もりで描かれる人間の生活と尊厳。
    残酷で幸福なラストシーン。
    「誰を殺すか」でついつい考えられてしまう戦争漫画において、たった一人と“一つ”だけを殺した作者の決断。
    そして時間は進む。
    戦争が終わってもなお。

    戦争に限らず、時代と、悲劇と、災害と、もしかしたら人種も国籍も超えてゆくかもしれない、普遍的な何かを描き出した傑作。
    傑作中の傑作。
    (二度書いちゃったよ)。
    伏線も本当にうまい。
    個人的には鬼イチヤンの“最後のあれ”でぞくっときちゃったよ……。

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