
呉市に嫁いだすずは、不器用ながら北條家に溶け込み日々を過ごしてきた。
だが、やがて戦争の匂いがすずの暮らす街を色濃く染めていく。
空襲、原爆、終戦。
戦争が一人の女性の小さな世界を歪ませていく。
ページを捲る手が震える、魂の最終巻!
映画化 原作漫画
呉市に嫁いだすずは、不器用ながら北條家に溶け込み日々を過ごしてきた。
だが、やがて戦争の匂いがすずの暮らす街を色濃く染めていく。
空襲、原爆、終戦。
戦争が一人の女性の小さな世界を歪ませていく。
ページを捲る手が震える、魂の最終巻!
コメント
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
また、あの時代そのものに、ほんの少し近づけた気がする。
そんな作品です。
ストーリーでぐいぐい読ませる作品ではないので、途中で読むのを止めてしまう方もいるでしょう。
そんな方には、高評価の数々を信じて、ぜひ最後まで読んでいただきたいと思います。
戦争を描いた作品や戦時下の暮らしを描いた作品を読むと、「戦争」とか「戦時下の人々」というものが対象化される、というのがこれまでの読書体験でした。
つまり戦争の「悲惨さ」「恐怖」「暴力」「破壊」またこれに対比される「絆」や「愛」といったイメージを、具体化して見せてくれるのが、いわゆる「戦争モノ」の作品だったのです。
この作品は、過剰に「悲惨さ」を見せることも「絆」を見せることもしません。
だからこそ、読者は、すずに、あの時代に、素直に寄り添えるのでしょう。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
戦時中だって常に日常はあって、その日常の中に前線は忍び込んでくるけれど、そして何ということもなく命も奪われていくけれど、それでもなお日常があって、悲しみも含めて淡々と時は過ぎていく。
流されるままに生きるすずさんを通して記述されるので余計にそう見えるが、末端の市民にとっての戦争とはこのようなものだったのだろう。
生前、戦時中はどうだったかと祖母に聞いても、まあ、大変だったよ、というくらいしか返ってこなかったが、こういう日々だったのかな、と。
井の頭公園に松脂取りに駆り出された際、「こんなことして勝てるのかしらねぇ」と言って大問題になった、とか面白おかしく語ったりしてましたが、それも特殊なエピソードというわけでもなかったのかもしれない。
死がすぐ隣にあるだけで、市民にとってはそれもまた日常、と。
徹底して他人事のように描くことでかえって戦争の異質さが浮かび上がるしかけは、玉音放送の一瞬と戦後に太極旗を見たときのすずさんの反応とのコントラストとあわせ、心に残った。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
昭和19年、広島から呉へ嫁いできた「すず」さんが主人公。
絵を描くのが好きな彼女の日常生活が淡々と、でも情感豊かに描かれている。
日常に覆いかぶさる戦争の影、爆撃、広島に落ちたという新型爆弾の噂や影響も丁寧に書き込まれ、何の誇張もないかわりに、生きることのやるせなさや重みが染み染みと胸にしみとおる。
どのくらい深くしみるかというと、「きっと自分はすずさんと同じ時代、同じ世界を生きてきたことがある」と思えるくらい。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
自分を大切に思ってくれる人に、そう言える日が普通に続く事、そんな幸せな事の大切さを思います。
単に戦争に負けてせいせいした、という話ではなく、敗戦に、瞬間の悲しみを覚えるシーンも秀逸だと思った。
「戦争に意味は無い」、我々が叩き込まれてきた、あるいは、戦争を2度と起こさないために重要な感情。
しかし、これが当事者にとってどれほど難しい考え方であるのか。
友人を、家族を亡くした人たちの気持ち、どう描かれても、わからないものはわからない。
ただ、全てが終わった時、「納得できない」と思った気持ちは、それが一瞬のうちに忘れられたとしても、また真実なのだろう。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
お話も独特な曖昧さ余白が際立つ。
映画と漫画比べながらもう一周したい。