
呉市に嫁いだすずは、不器用ながら北條家に溶け込み日々を過ごしてきた。
だが、やがて戦争の匂いがすずの暮らす街を色濃く染めていく。
空襲、原爆、終戦。
戦争が一人の女性の小さな世界を歪ませていく。
ページを捲る手が震える、魂の最終巻!
映画化 原作漫画
呉市に嫁いだすずは、不器用ながら北條家に溶け込み日々を過ごしてきた。
だが、やがて戦争の匂いがすずの暮らす街を色濃く染めていく。
空襲、原爆、終戦。
戦争が一人の女性の小さな世界を歪ませていく。
ページを捲る手が震える、魂の最終巻!
コメント
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
正直重いテーマなので、手に取るのに時間がかかった。
話の経過を知っているとなお、またあのつらさを味わうのか、とためらってしまう部分もあった。
読んでみて、やはり映画の完成度がかなり高かったのだな、と感じた。
原作本は3冊に及ぶが、かなりうまく話をまとめている。
遊廓の女性とのエピソードはかなりばっさりと省略されていた(監督がすずさんにこれ以上辛い思いをさせたくないとインタビューで言っていたと目にしたが、本当かどうかはわからない)。
このエピソードがあるかないかで周作に対する印象はかなり異なってくるため、どちらが良いかは一概に言えないが、無い方が話としてまとまりやすくなるのは間違いないだろうから、時間の限られた映画では省略するのが正解かもしれない。
また漫画では漫画だからこそできる様々な表現が試みられているが、うーん、正直自分にはごちゃごちゃして感じられた。
そこで凝らなくてもいいのでは、と感じた。
ストーリーがしっかりしているので、それ以上盛り込まなくても良かったのではないかと思う。
映画もまた観たいと思うけれど、やっぱり重いので、いつになるかな…。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
怒りや悲しみ、喪失感を見せるシーンが多くなるが、それでも生活は続いていく。
手法の洗練が凄まじい。
たとえば、第43話、主人公のすずがお隣の刈谷さんといっしょに買出しに行く話の冒頭、リヤカーを引く刈谷さんがふと公民館の脇で立ち止まり後ろから押すすずがつまづくという、つい読み飛ばしてしまいそうな何気ないシーンがある。
話の最後にこのシーンの意味があきらかにされ、前の話のこれまた読み飛ばしていたようなコマにつながっていく。
ほかにも、失われた右手の語る物語など、あわてて上巻・中巻読み返したけれど、それでも読み落としている場面があるような気がする。
日本の漫画表現の最前線がここにあると思う。
なんとか最後まで読み終えて、ラストのカラーページの暖かさと笑いにホッとさせられる。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
本当に面白く、切なく、楽しく、ツラく、心に沁みる話で名作だと思います。
登場人物たちが意外と狭く、複雑に関係しあう伏線がそこここにあり、読み返してもハッとさせられます。
戦時中、苦しい時代・世界・現実をほんわかとした画と主人公でほのぼのと読ませるところがすごい、と思いながら読んでいたのですが、そのほんわかの中で戦時中の歪んだ世界観を描き切り、逆に読んでいる我々にここまで苦しさを伝えることができる作者の力量に脱帽です。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
傑作中の傑作。
これ以上に語ることばはない。
ぜひ多くの人に触れて欲しい作品。
個人的にこの作品は、3巻積み重ねたからだけれど、「夕凪の街 桜の国」を上回ったと思います。
あまりにも素晴らしい要素が多すぎて、語りつくせないが、作者の真摯な「時代」への、そして「漫画」への探究心が生み出した数々の傑作エピソードが、一気に物語の後半で花開く。
36度5分の温もりで描かれる人間の生活と尊厳。
残酷で幸福なラストシーン。
「誰を殺すか」でついつい考えられてしまう戦争漫画において、たった一人と“一つ”だけを殺した作者の決断。
そして時間は進む。
戦争が終わってもなお。
戦争に限らず、時代と、悲劇と、災害と、もしかしたら人種も国籍も超えてゆくかもしれない、普遍的な何かを描き出した傑作。
傑作中の傑作。
(二度書いちゃったよ)。
伏線も本当にうまい。
個人的には鬼イチヤンの“最後のあれ”でぞくっときちゃったよ……。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
上巻からの感想を全部かきます。
ネタバレするのでご注意。
たくさん戦時中の本を読んだりドキュメントを見てきましたが、これは素晴らしいのでぜひ読んで欲しい本です。
絶賛できます。
日常を丁寧に描いている上、主人公すずの可愛らしい性格も相まって、うっかり戦時中だということを忘れそうになりながら、「何年何月」という進み方のため、じわりじわりと「戦争」というものが実感できてしまいます。
同じ著者でやはり広島の「夕凪の街 桜の国」がありますが、わたしはこちらの「この世界の片隅で」の方が胸にきました。
上巻は比較的というかかなり穏やかです。
主人公を筆頭にその周りの人も表情が暗くなく、この本が戦争ものだということを忘れてしまいそうでした。
なによりすずの無邪気で可愛らしいこと。
少女時代からお嫁に行くまでです。
むしろ、お嫁に行った先で大丈夫なのかなあと心配になってしまいました。
中巻は、いよいよ空襲がくるものの、まだまだ穏やかでした。
すっかり家族になって周りとも溶け込んだすずとその家族の微笑ましいお話が多く、戦争ものというより人情もののような…
旦那さんとの初々しいお話につい頬が緩んだりしました。
不幸なこともあるし不便なこともあるし理不尽なこともあるけど、それでも幸せそうでした。
下巻。
怒涛の展開にもう目が離せませんでした。
一気に終戦まで。
戦争で大切なものを失う理不尽さとそれによって受ける精神的打撃に、無邪気だったすずの表情の変わりように胸が締め付けられました。
それでも、最後はこれから頑張って生きて行こうという暖かさで〆られて、復興していく彼らの姿も見たいなと思いました。